「沢山のピーナツタフィーに埋もれたいの」
幸せそうな奥さんはそう言ってきらきら光った指先を
私の前に翳した。
「私の夫は宝石商なのよ。彼ったら私によく似合うって
これをくださったの…」
そう言ってきらきらをうっとりと見つめた。

きらきらは私の鼻を擽って面白そうに飛んでいった。

私はきらきらが欲しいと思ったけど私には指がなかった。

***

「もっと愛が欲しいんだ」

泣きじゃくって言う彼。
顔はくしゃくしゃに潰れていた。
私は日本の昔話「一休さんの虎の絵」を思い出していた。

あなたが私に愛というものを教えてくれたら
私はそれをあなたにたくさん持っていって
あなたに頭を2.3度撫でてもらいたいと思った。

その前にまずくしゃくしゃの顔を戻す為の熱湯を
用意してあげたら一回くらい撫でてもらえるかもしれない。

***

「ごめんなさい」

柔らかくて温かかった。
何気なく触れた手。
目の前がちかちかして真っ黒い髪から覗く目が
ピンク色に見えた。

ちいちゃなちいちゃなあなた。
柔らかいあなた。

いつもは無機質なプラスチックなのに
いつもは笑ってくれていたのに

熱を持ったあなたは後ろ姿しか見せてくれません。

***

「いたいよぅ」

セロリをかじったらとろとろと血が流れ出した。

「いたいよぅ」

私は構わず噛み千切る。

「いたいよぉ」

涙がボロボロと真っ赤な床に落ちる。

「いたい…」

私は自分の腕がセロリだったことを今知った。

***

夜が明ける。

夜が明ける。

このまま時が止まればいいのに。

チャット時間:187分


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