ショートショートフィクション
2003年5月4日「沢山のピーナツタフィーに埋もれたいの」
幸せそうな奥さんはそう言ってきらきら光った指先を
私の前に翳した。
「私の夫は宝石商なのよ。彼ったら私によく似合うって
これをくださったの…」
そう言ってきらきらをうっとりと見つめた。
きらきらは私の鼻を擽って面白そうに飛んでいった。
私はきらきらが欲しいと思ったけど私には指がなかった。
***
「もっと愛が欲しいんだ」
泣きじゃくって言う彼。
顔はくしゃくしゃに潰れていた。
私は日本の昔話「一休さんの虎の絵」を思い出していた。
あなたが私に愛というものを教えてくれたら
私はそれをあなたにたくさん持っていって
あなたに頭を2.3度撫でてもらいたいと思った。
その前にまずくしゃくしゃの顔を戻す為の熱湯を
用意してあげたら一回くらい撫でてもらえるかもしれない。
***
「ごめんなさい」
柔らかくて温かかった。
何気なく触れた手。
目の前がちかちかして真っ黒い髪から覗く目が
ピンク色に見えた。
ちいちゃなちいちゃなあなた。
柔らかいあなた。
いつもは無機質なプラスチックなのに
いつもは笑ってくれていたのに
熱を持ったあなたは後ろ姿しか見せてくれません。
***
「いたいよぅ」
セロリをかじったらとろとろと血が流れ出した。
「いたいよぅ」
私は構わず噛み千切る。
「いたいよぉ」
涙がボロボロと真っ赤な床に落ちる。
「いたい…」
私は自分の腕がセロリだったことを今知った。
***
夜が明ける。
夜が明ける。
このまま時が止まればいいのに。
チャット時間:187分
幸せそうな奥さんはそう言ってきらきら光った指先を
私の前に翳した。
「私の夫は宝石商なのよ。彼ったら私によく似合うって
これをくださったの…」
そう言ってきらきらをうっとりと見つめた。
きらきらは私の鼻を擽って面白そうに飛んでいった。
私はきらきらが欲しいと思ったけど私には指がなかった。
***
「もっと愛が欲しいんだ」
泣きじゃくって言う彼。
顔はくしゃくしゃに潰れていた。
私は日本の昔話「一休さんの虎の絵」を思い出していた。
あなたが私に愛というものを教えてくれたら
私はそれをあなたにたくさん持っていって
あなたに頭を2.3度撫でてもらいたいと思った。
その前にまずくしゃくしゃの顔を戻す為の熱湯を
用意してあげたら一回くらい撫でてもらえるかもしれない。
***
「ごめんなさい」
柔らかくて温かかった。
何気なく触れた手。
目の前がちかちかして真っ黒い髪から覗く目が
ピンク色に見えた。
ちいちゃなちいちゃなあなた。
柔らかいあなた。
いつもは無機質なプラスチックなのに
いつもは笑ってくれていたのに
熱を持ったあなたは後ろ姿しか見せてくれません。
***
「いたいよぅ」
セロリをかじったらとろとろと血が流れ出した。
「いたいよぅ」
私は構わず噛み千切る。
「いたいよぉ」
涙がボロボロと真っ赤な床に落ちる。
「いたい…」
私は自分の腕がセロリだったことを今知った。
***
夜が明ける。
夜が明ける。
このまま時が止まればいいのに。
チャット時間:187分
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